文部省科学研究費中核的拠点形成プログラム

超高エネルギー断面から見た宇宙

研究拠点:東京大学 宇宙線研究所
研究拠点名:超高エネルギーガンマ線研究拠点
研究リーダー:東京大学 宇宙線研究所 教授 木舟 正(H11-H12)
 東京大学 宇宙線研究所 教授 森 正樹(H13-H15)
研究期間:平成11〜15年度
超高エネルギーガンマ線観測を手段として、パルサー、超新星爆発、 活動銀河、ガンマ線バーストなど、宇宙の超高エネルギー非熱的現象を 探求し、その機構を解明する。

研究概要

宇宙現象の観測的研究はこれまで電子が放出する電波からX線に至る 波長領域の電磁波の観測によって主に推進されてきた。 一方、電子の2000倍の大きな質量エネルギーを持つ陽子を主成分とする 超高エネルギー素粒子が宇宙にあまねく存在することが知られている。 高エネルギー素粒子の担うエネルギー総量は莫大で宇宙現象の エネルギーの供給、転換、散逸などの諸過程において重要な役割を 果たしている。宇宙の高エネルギー粒子の直接的な検出手段である 超高エネルギーガンマ線の観測が最近になって可能になった。 高エネルギーガンマ線観測により、超新星残骸や爆発の後に 残されるブラックホールや中性子星近傍、活動銀河での巨大質量の ブラックホールやそのジェット現象、銀河団などでの超高エネルギー 現象の研究・解明が世界的競争になっている。

われわれCANGAROOグループは1992年以来、 観測適地であるオーストラリアにおいて、 口径3.8mのガンマ線望遠鏡を使用し超高エネルギーガンマ線の 開拓をリードしてきた。さらに現在、口径7mの大型ガンマ線 望遠鏡の運転を開始した。その観測と成果を発展させるため、 次のような方法で本研究を推進する。

  1. 既有7m望遠鏡を増強して10m口径望遠鏡とする。
  2. さらに3台の10m口径望遠鏡を建設し100GeV領域のガンマ線の 観測を行う。複数台の望遠鏡による立体的観測はエネルギーと到来方向の 角度精度を改善し、観測の障害となる雑音現象の除去効率を 飛躍的に向上させる効果がある。その結果、高い信頼度の結果を 数日で得ること、ガンマ線バーストやその他突発的な現象の 検出が可能になる。また、これまで観測が困難であった広がった ガンマ線源、銀河円盤や宇宙背景ガンマ線など遠方のガンマ線源の 検出が期待できる。広い空間領域で生起する粒子加速過程の 観測が可能となる。
  3. ガンマ線放出領域の2次元マッピングを衛星による観測方法より 優れた1分角の精度で行い、X線観測などと同程度に迫る 10-13erg cm-2s-1程度の 観測感度を得る。我が国の次期X線衛星ASTRO Eや米国のAXAFなどに よるX線観測の最新データなど他波長データとの比較を行う。 その結果、パルサー星雲、超新星残骸、活動銀河に加えて、 新しいタイプのガンマ線源の発見が期待される。現在約10個の ガンマ線源を100個程度まで増大させ、これまで隠されてきた 超高エネルギー宇宙の描像を得る。

宇宙線が示唆する超高エネルギー現象はこれまで間接的な推測の 域にとどまらざるを得なかった。我が国は、東京大学宇宙線研究所を 中心機関として世界の宇宙線研究をリードしてきた。高エネルギー ガンマ線の直接観測の実現が引き起こそうとしている新しい展開に 対し、宇宙線研究所での本研究の拠点形成により対応する。 大型衛星を必要とするためこれまで我が国では欠落し欧米に立ち 遅れてきたガンマ線観測を我が国において確立する。現在、 米国、ドイツにおいても本研究と同様な望遠鏡建設計画が出発 直前の状態にある。これらと競合しつつ且つ連携を保ちながら、 宇宙の超高エネルギー現象の研究を推進する。ニュートリノや 重力波などを含む広い学際諸分野との接点を開拓することが 可能となる。

図上:10m望遠鏡4台からなる高エネルギーガンマ線観測装置(CANGAROO-III)の完成予想図。





研究組織

森 正樹東京大学 宇宙線研究所 教授
木舟 正信州大学 工学部 教授
榎本良治東京大学 宇宙線研究所 助教授
葉田野義和東京大学 宇宙線研究所 助手
河内 明子東京大学 宇宙線研究所 助手
谷森 達京都大学 理学部 教授
柳田昭平茨城大学 理学部 教授
西嶋恭司東海大学 理学部 教授
郡司修一山形大学 理学部 助教授

研究経過

1999.04プログラム開始
1999.05
-2000.01
7m望遠鏡による観測
2000.027m望遠鏡を10mに拡張する。
2000.0310m望遠鏡による観測開始
2000.0310m望遠鏡のカメラ拡張及び電子回路の増強
2000.05.0910m望遠鏡の公式除幕式典
2000.05.2410m望遠鏡の完成記念祝典
2002.0310m望遠鏡2号機の建設
2002.04.25Nature誌に超新星残骸についての観測結果を発表
2002.09.25-28国際シンポジウム「ガンマ線でみた宇宙」
2002.1210m望遠鏡3号機の建設
2003.0710m望遠鏡4号機の建設
2003.07.31-08.07第28回宇宙線国際会議(つくば)
2004.0310m望遠鏡4台のステレオ観測装置がフル稼働開始

研究成果の公表

科学研究費補助金 成果報告書 (2004年4月) [pdf] New!

その他、CANGAROOグループのページ参照

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関連リンク

CANGAROOグループホームページ [日本語English]

科学研究費重点領域研究「超高エネルギー天体物理」 (1998年度で終了)

国際シンポジウム "The Universe Viewed in Gamma-rays"(ガンマ線でみた宇宙) 2002/09/25-28

宇宙線研究所ホームページ

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更新:June 16, 2004